Resolution~決意~
戦艦やモビルスーツの残骸が浮遊する暗礁宙域。
その中でデブリの一つに取り付き、数千キロ先を通る予定の艦の姿を思い描きつつ、ディアッカ・エルスマンはGAT-X103バスターの長高インパルス長射程狙撃ライフルの照準を合わせていた。
その艦の後方からは2体のモビルスーツが距離を取りつつ追尾しているはずだった。
「まさかこの俺があいつの為に引き金を引くコトになるとはね・・・」
ついこの間まで敵であった1人の男の顔を思い浮かべ独りごちたディアッカは、さらに我が身を襲った不可思議な縁と、その中で生じた心の変化を感じつつ自嘲の笑みを浮かべた。
「それでも」
呟きつつディアッカは脳裏に浮かんだ1人の少女の顔に思いを馳せた。だが、思い出すその顔はいつも泣き顔ばかりだった。
とは言えそれは彼の心にさざ波を立てるには充分な泣き顔でもあった。「あの顔を見ちまったからな・・・」
そして小さく一つため息をつく。
拭い去っても拭えないその少女の泣き顔。だがその少女の存在が彼の中で大きくなっているのも事実だった。
「まぁ、仕方ねぇな。今さら後にも引けないでしょ」
何かを吹っ切ったように呟き、ディアッカはバスターの操縦桿を握り直した。
「やると決めた以上はグゥレイトにキメるぜ⁉︎ なぁ、バスター」
製作&執筆 2014.12.4
平成ガンダムの名作【機動戦士ガンダムSEED】より。
HGのバスターガンダムを使った作品で、台座の加工に苦労した記憶がありますが、イメージ通りの立体感のある作品が作れたと、なかなか満足感の高い作品。
SEEDの中では脇役のディアッカ・エルスマンではありますが、最初はかなり軽薄で嫌な男だったのに、一人の少女との出会いから徐々に変わっていったのが、印象的なキャラクターでしたね。
作品は、遠距離狙撃型という、本来のバスターの運用方法を忠実に守ったシチュエーションを創作して切り取ってみました。